重症腹膜炎術後に発症した腹部コンパートメント症候群の診断治療に最高気道内圧モニタリング・減張腹壁創管理が有効であった1救命例
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概要
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症例は63歳の女性で,S状結腸憩室穿孔による汎発性腹膜炎のため,緊急手術,腹腔内洗浄,人工肛門造設術を行った.術中より敗血症性ショックとなるが,閉腹時では腹腔内圧の上昇の所見は認めなかった.術後,多量の輸液と持続血流ろ過透析を施行,術後5日目,最高気道内圧の上昇を認め,膀胱内圧を測定すると30mmHgであった.腹部コンパートメント症候群と診断,減圧目的に再手術を施行した.回腸が屈曲部で分節状に壊死を起こし,回盲部から口側に約150cm切除,小腸断端は右側腹部で人工肛門とした.腹壁は縫合せず,閉鎖式持続吸引法を施行した.再手術後5日目,腸管の浮腫が軽減し,腹壁の再縫合を施行した.以後,全身状態は徐々に改善し,1年3か月後に退院となった.腹部コンパートメント症候群による腸管壊死は致死的な病態だが,膀胱内圧測定の補助として最高気道内圧のモニタリングは,腹腔内圧の上昇の早期発見に有用な方法と考えられた.
- 一般社団法人日本消化器外科学会の論文
- 2007-11-01
著者
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清水 正啓
愛生会山科病院外科
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安井 仁
愛生会山科病院外科
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閑 啓太郎
愛生会山科病院外科
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閑 啓太郎
公立湖北総合病院外科
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荒金 英樹
愛生会山科病院外科
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安井 仁
京都府立医科大学第2外科
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稲田 聡
愛生会山科病院外科
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