集落形態に対する認識と地域形成の関係に関する研究 : 兵庫県明石市の「明石惣町」を中心としてみた明石の個性を事例に
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概要
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地域の個性を活かすまちづくりが各地で行われている。個性を活かすためには,この個性について知る必要がある。地域の個性は,「見える」ものによって構成され,それを我々は類型的に把握し,集落(地域)の形態を認識している。この類型的に捉えた集落形態に対する認識は,地域形成の手掛かりになっている。集落形態は,現在「存在する・しない」に関係なく,「かつての…町」というように,地域を成り立たせている類型を受け継ぐ性質を持っている。地域を捉える人々の視覚の多様化によって,認識される都市の姿(類型)は様々である。だが,視覚によって捉えられるものは,かつて存在したという以上の意味を持たない。今日,地域の個性として,「目に見える」要素は強調され,それを持たない地域との問に景観上の格差が生じている。だが,「見える」ことを重要視する現実の都市において,この格差はあまり意識されていない。本稿で取り上げる兵庫県明石市の「明石惣町」は,地域の個性を示す資源に恵まれた地域である。地域は,この個性を活かす試みを行っている。だが,その試みは,新たな類型を登場させ,近代化・都市化の過程で,地域を「どこにでもある地域」にしてしまった。歴史を顧みない地域整備は,地域に残る「見える」要素さえも「見えない」ものへと変えてしまった。
- 2007-03-31