発着を意味する動詞における目的語省略現象
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿では起点と着点を持つ移動動詞,主に"leave","depart","reach","visit"についてどのような条件下で目的語省略が可能であるのかどうかを考察する。Givon (1984)によれば英語の名詞に特性があることを述べている。それは以下のスケールのようになる。Entity>Temporal>Concrete>Animate>Human Abstract←上記のスケールは名詞が左の範疇にいけばいくほど抽象的になることを示している。場所を表す名詞,例えば"London","park"などはTemporalに属するとされている(北林 : 2001)。一方,他動性理論(Hopper & Thompson : 1980)のパラメータの一つである目的語の個別性の視点から考えると抽象度の高いものほど自動詞文に近くなり目的語省略がされやすい環境になると考えられる。さらに,動詞のアクション,または着点がフォーカスされると前景化されその結果目的語が後景化し目的語が省略される場合があるといえる。考察の結果,発着を意味する動詞で目的語が省略されているケースでは相において非完了,行動様式では非現実,また,構造的パターンでは"Listing Effect","Contrasting Effect"などであることが分かった。
- 近畿大学の論文
- 2007-03-25