近年のマネーサプライ伸び悩みの背景 : パネル・データを用いた都道府県別預金の実証分析
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概要
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わが国では,近年,マネーサプライM2+CDが伸び悩んでいる。データ数の制約から,全国ベースでは十分な計量分析が困難だが,M2+CDの大部分を占める預金については都道府県別データが得られる。預金に影響する各種要因も含めた都道府県別の動向をみると,地域間格差はかなり大きく,多様な推移を辿っている。そこで,都道府県別パネル・データを作成し,M2+CD低迷の背景を探る。貨幣需要関数からの類推等により,県内総生産,預金金利のほか,資産価格(地価,株価),貸出を説明変数としたパネル分析を行った。都道府県別預金の伸びは,貸出の伸びと強い順相関がみられた。また,地価など他の説明変数との間でも,想定される符号条件をほぼ満たした有意な推計結果が得られた。また,個人預金・法人等預金別の推計や,バブル崩壊前後別の推計も行い,それぞれの特徴を確認した。これらの推計結果からみて,長引く地価の下落や貸出の減少が近年のマネーサプライ低迷の背景であると考えられる。
- 近畿大学の論文
- 2006-12-20