黄体化未破裂卵胞(LUF)に対する排卵誘発補助薬としてのG-CSFの有用性に関する研究
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概要
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目的:Granulocyte Colony-Stimulating Factor (G-CSF)が排卵に深く関与することが報告されているが,G-CSFが作用を発現するのに必要なG-CSFレセプター蛋白およびそのmRNAが卵巣局所に存在するかどうかを明らかにすることを第一の目的とした。さらに,排卵障害の一つである黄体化未破裂卵胞(Luteinized Unruptured Follicle:LUF)の既往症例に対して排卵誘発治療中にG-CSFを投与し,G-CSF投与の有用性について検討することを第二の目的とした。対象と方法:1)正順月経周期を有する成***性8名から摘出した卵巣組織を用いて,免疫染色法によりG-CSFレセプター蛋白の局在を検討した。また別の6名を対象とし,RT-PCR法でG-CSFレセプターmRNAの存在を性周期別に検討した。2)Clomiphene-hCG療法を行ったにもかかわらずLUFが確認された不妊患者16症例18周期に対し,LUF周期と同様にClomiphene-hCG療法を行い,推定されるhCG投与の1〜2日前にG-CSF 100μgを投与し,排卵の有無を検討した。結果:1)G-CSFレセプター蛋白は,主に卵胞顆粒膜細胞と黄体細胞に認められた。また,RT-PCR法による卵巣組織中のG-CSFレセプターmRNA発現は,卵胞期後期および排卵期の卵胞壁組織で検出された。2)G-CSFの投与によって対象とした18周期中16周期で排卵を認めた。この排卵率はこれらの対象のG-CSF投与前のすべての治療周期でのLUF発症率と比較して有意に高率であった(Pく0.01)。結論:G-CSFレセプターおよびそのmRNAが卵胞組織中に存在すること,ならびにLUF患者に対しG-CSFを投与することで排卵が促進されることがはじめて明らかにされた。