メタボリックシンドロームを背景とするウイルス性心筋炎におけるアンジオテンシンII受容体拮抗薬の心筋保護作用の解析 : 心筋内アディポネクチン発現の意義
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概要
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目的:低アディポネクチン血症を呈するメタボリックシンドロームにおいてのアンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬(ARB)の心筋保護作用機構を解明するため,心筋内アディポネクチンの発現と共に心筋障害の改善度を解析した。方法:肥満KKAyマウスに脳心筋炎ウイルス(EMCウイルス)を接種し,急性ウイルス性心筋炎を発症させ次の3群に分けた。(1)ウイルス接種6日前からカンデサルタンを投与する前投与群,(2)ウイルス接種と同時にカンデサルタンを投与する同時投与群,(3)コントロール群とした。心重量/体重比,心筋壊死範囲および炎症細胞浸潤の程度,アディポネクチンの血中濃度および心筋内mRNAの発現量,アディポネクチンの転写促進因子であるPPAR-γ mRNA,C/EBPα mRNAの発現量,TNF-α mRNA,TNF-αの転写促進因子であるNF-κ B mRNAの発現量を感染後0,4,7日目において検討した。結果:カンデサルタン前投与群,同時投与群において感染後7日目で心筋壊死範囲の縮小を認め,心重量/体重比においてもコントロール群と比べ有意な減少が認められ心筋内アディポネクチンのmRNA発現も亢進した。TNF-αおよびNF-κ Bの発現量は前投与群において減少していた。前投与群と同時投与群においてコントロール群に比し第4日目の血中アディポネクチン濃度,心筋内C/EBPα mRNA発現は有意に上昇した。結論:ARBはメタボリックシンドロームにおける心筋炎においては心筋内アディポネクチンの発現を亢進させることによって心筋保護作用を発揮する可能性が示唆された。