2型糖尿病患者における頸動脈動脈硬化進展の要因に関する研究 : 内臓脂肪蓄積に伴う代謝異常との関連
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概要
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【目的】2型糖尿病患者(DM)を対象に頸動脈超音波検査を行い,血管弾性の指標であるstiffness index β,内膜-中膜複合体厚(IMT)及びプラークを計測し,それらの規定因子を内臓脂肪蓄積との関連で解析した。【対象と方法】対象は,臨床的に動脈硬化性疾患の既往及び現症のないDM151例で,非糖尿病患者(C)83例と比較した。一般臨床所見に加え24時間血圧を測定した。腹部CT画像から内臓脂肪面積(VFA)を求め,血中adiponectin及びtumor necrosis factor (TNF)-αを測定した。インスリン抵抗性は,homeostasis model assessment for insulin resistance (HOMA-IR)で評価した。各動脈硬化の規定因子の解析は,重回帰分析を用いた。【結果】両群間で年齢に差はなかったが,DMではCに比し男性の割合,nonHDL-C,HOMA-IR,VFA及びTNF-α/adiponectin比が高値で,脈圧は開大していた。頸動脈における動脈硬化の各指標はDMでCに比しいずれも高度で,その差は年齢,性別及び24時間収縮期血圧(SBP)で調整後も有意であった。そこで,年齢,性別,24時間SBPを調整項目に加え,nonHDL-C,HOMA-IR,VFAにつき動脈硬化の各指標との関連を検討した。その結果,Cでは加齢の影響が主な要因であるのに比し,DMではそれに加えIMTはnonHDL-C,stiffness index βはVFA,プラークはVFA,HOMA-IR及び24時間SBPと関連していた。【結論】Cに比しDMでは,各動脈硬化性病変と関連する因子が異なっていたことから,患者の病態に即した治療的アプローチが必要であることが示唆された。
著者
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