「環境・自然」概念の再検討 : 環境問題及び自然保護への視点から
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概要
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地球規模の琿境問題を考える上では、人間と自然の生態学的連鎖、限られた地球という空間で共存するものという視点からも、人間と自然を一体的に捉える事は重要だろう。しかし、自然保護が問題となる場面においては、人間と自然の利害が対立する状況が少なくない。また、人間と自然を一体的に捉えようとすることは、人間と自然の利害対立に関する認識を曖昧なものとし、環境倫理学において強調されてきた自然の内在的価値による自然保護という視点が見過ごされる危険性もある。そもそも自然保護に関する問題が"環境問題"に含まれるのかどうかについても異なった見方が存在する。本稿では、こういった問題に対し、環境問題という用語の使われ方に内在する曖昧さを分析し、その原因でもある「環境」や「自然」という基本的概念を環境問糎・自然保護の認識との関係から検討する。環境は常に主体の存在を前提とする概念であり、本来なら環境問題は主体にとっての問題として認識されねばならないという立場に立つ。また、自然と人間に関する議論において、自然が多くの場合"空間"として認識されていることを指摘したうえで、「自然」を"要素"として捉えることにより、環境問題と自然保護の関係をより明確に位置付けることを試みたものである。
- 名古屋市立大学の論文
- 2006-12-24
著者
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