城郭を事例とするデジタルアーカイブ教育コンテンツの試作
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概要
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現在、有形・無形の文化財を記録・保存・発信する「デジタルアーカイブ」の認識は高まりつつある。各省庁でも内閣府を中心にデジタルアーカイブを用いた教育コンテンツの開発・普及が進められている。しかし、映像産業の中で興味を示している団体や組織においては、具体的な着手がまだ行われていないのが現状である。また、教育の現場においては、「コンピュータによる共同学習支援(CSCL: Computer Supported Collaborative Learning)」を考慮した教育コンテンツの有用性が着目されており、教師達はどのような教育コンテンツをどのように活用していけばいいのか模索している。そこで、本研究ではデジタルアーカイブを用いた教育的コンテンツとして、「時間と空間の視覚化に重点を置き、画像データベースを用いた『Web用教育的コンテンツ』」の試作を行った。なお、コンテンツの題材には一応、近畿のシンボルである大坂城を用いた。本コンテンツは「時間」「空間」「学習」「保管」の4つのステージで構成されている。「時間」ステージでは、大阪城全体あるいは特定の建築物の時間軸上での変化を追う。「空間」ステージでは、ユーザが足を運びたい場所を選び自由に閲覧することができる。「学習」ステージでは、リンクをたどることでユーザが自由にデータ閲覧を行う。「保管」ステージは、管理者によるデータベースの管理・構築を行う。「時間」「空間」「学習」の3つのステージ間を自由に行き来できることによって、時空間距離を超越し有形無形の概念を排除した情報収集が可能となっている。データベースは、画像データ、文字データ、音声データ、動画データからなる。また、大阪城建築物の推移などを示した「時系列データ」を加えることにより、大阪城建築物の変移を目で見て理解できるようになった。さらに、本コンテンツの教育コンテンツとしての有用性をCSCLの面からの考察した。本コンテンツはCSCLの重要な要素である「再吟味」を満たす、「ユーザが自由に学べ、かつ学習の軌跡を振り返る(再吟味する)ことができる」コンテンツであるといえる。また、アンケート調査を行い、学習者がこのようなビジュアル系コンテンツに高い関心を示していること、および教材として有用であることを明らかにした。
- 2002-07-30
著者
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長江 貞彦
The School of Biology-Oriented Science and Technology, Kinki University
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長谷 康之
The School of Biology-Oriented Science and Technology, Kinki University
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長谷 康之
The School Of Biology-oriented Science And Technology Kinki University