現代正義思想における教育の平等と社会的財の射程 : M.ウォルツァー正義論のパラドクス
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概要
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M.ウォルツァーの配分的正義論は、他の財とは独立した財の独自な意味に応じて、さらには財の意味が解釈され共有される社会・文化・共同体の文脈に応じて、社会的財が複合的に配分されるべきだと論じるものである。ウォルツァーは、教育の領域においても、複合的な平等が考察されると考える。学校、教師-生徒関係、知識といった教育の財は、経済や政治の秩序に規定されない独自の自律した配分の過程を構成する。教育は、単なる私的な財ではない。私たちが集合的に願望する社会的財である。それは、私たちの社会・文化・共同体のなかに埋め込まれたものである。だが、この配分的正義の自律した領域というウォルツァーの構想は、不徹底であるばかりか、疑問である。というのも、もし私たちが社会的財としての教育の正義や配分の平等をまじめに考慮するならば、かれの考察は<善さ>や<承認>の主張を取り巻くパラドクスに必ず突きあたることになるからである。
- 日本教育学会の論文
- 2007-09-28
著者
関連論文
- ヴォルフガング ブレツィンカ著, 小笠原道雄・坂越正樹監訳, 『教育目標・教育手段・教育成果 教育科学のシステム化』, 玉川大学出版部刊, 2009年7月発行, A5判, 397頁, 本体価格8,000円
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