CDTが誘導するアポトーシスにおけるLamin A/Cの解析
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Actinobacillus actinomycetemcomitansは歯周病の原因と考えられている口腔内細菌で,感染した免疫細胞にアポトーシスを誘導することが知られており,このことが歯周疾患の慢性化の一因と考えられている.本研究では,この免疫細胞を障害する因子として本菌が産生するタンパク毒素cytolethal distending toxin (CDT)に注目し,ヒト単球細胞U937細胞を用い,CDTによる細胞障害機序を分子生物学的な手法を用いて解析した.CDTを作用させたU937細胞では,18時間後にG_2/M期で細胞周期が停止し,24時間後には顕著な細胞膨張とアポトーシス特有の核濃縮,および染色体DNAの断片化と細胞膜の崩壊が観察された.また,CDT処理後24時間で,核膜成分であるlamin A/Cの開裂が観察された.この開裂はcaspase-6の活性を阻害すると著しく減弱され,caspase-9を阻害すると部分的に減弱された.しかし,caspase-3/7/8を阻害しても変化はみられなかった.なお,caspase-3,-6,-9のいずれを阻害しても,細胞周期の停止に変化は見られなかった.以上のことから,CDTはヒト単球細胞をアポトーシスにより死滅させるが,このアポトーシスでは,caspaseの活性化と,それに引き続きlamin A/Cの開裂が誘導されることが示唆された.
- 九州歯科学会の論文
- 2007-01-25
著者
関連論文
- Involvement of Lamin A/C in apoptosis of human monocytic cells induced by Actinobacillus actinomycetemcomitans cytoletal distending toxin
- CDTが誘導するアポトーシスにおけるLamin A/Cの解析
- 4. CDTが誘導するアポトーシスにおける核膜タンパクの解析(11月例会講演抄録)
- 幼児に対する歯科健診ならびに口腔保健指導を主体とした保健事業の取り組みとその評価