RANKL-RANKシグナルによる破骨細胞の分化調節 : RANKLの発見から骨免疫学の展開まで
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概要
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破骨細胞は骨吸収を司る多核巨細胞であり,骨吸収因子によって骨芽細胞/骨髄ストローマ細胞の細胞膜表面に誘導されるRANKLと破骨細胞前駆細胞が発現するRANKとの細胞間接触を介して誘導される.さらに遺伝子ターゲティングの結果から,RANKL, RANKが破骨細胞分化に必須の因子であることが証明された.以前から,局所に浸潤するT細胞やリンパ球やこれらの細胞から産生されるサイトカインなどが,骨破壊に関与することが知られていたが,近年,免疫系細胞による骨代謝調節機構を解明する研究として「骨免疫学」が提唱され,発展している.例えば,RANKLは,カルシウム依存性のカルシニューリンを介して特異的にかつ持続的にT細胞の活性化に重要な役割を担う転写因子,NFATc1を活性化する.NFATc1を欠損したES細胞から破骨細胞は誘導されず,またNFATc1遺伝子を破骨細胞前駆細胞に強制発現させるとRANKL刺激なしに破骨細胞を誘導できることから,NFATc1は破骨細胞のマスター分子と考えられる.骨代謝と免疫応答を結び付けるもうひとつの因子はNF-κBである.NF-κBのp50,p52二重欠損マウスは大理石骨病を呈し,IKKα,やNIK欠損マウスでも破骨細胞形成の抑制が認められる.さらにNF-κBの活性化経路を選択的に阻害するNBDペプチドは破骨細胞形成を抑制する.NF-κBが破骨細胞分化に必須の因子であることは広く受け入れられているが,NF-κBの標的遺伝子を同定し,NF-κBによる破骨細胞分化の分子メカニズムを解明することが重要である.
- 2005-12-25
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