鼻呼吸機能改善に伴う反対咬合症例の鼻上顎複合体の成長変化
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概要
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Mossのfunctional matrix説によると,鼻呼吸機能は鼻上顎複合体の成長を左右する要因の1つであり,鼻呼吸機能障害を伴う反対咬合と上顎劣成長との関係が指摘されている.本研究は,鼻呼吸障害を伴う上顎劣成長に起因する反対咬合者53名に鼻呼吸障害の改善を図ったのち自然成長を観察し,鼻呼吸障害改善前と改善後の側面頭部X線規格写真分析を行い,鼻呼吸正常者21名と比較した.被蓋改善群は,ANS-PNS間距離,convexityの増加の傾向,上顎前歯の唇側傾斜が認められ,反対咬合は改善した.非被蓋改善群は,ANS-PNS間距離,convexityは増加傾向を認めたが,被蓋が深く,反対咬合は改善しなかった.鼻呼吸障害の非改善群は,ANS-PNS間距離,convexityの増加は非常に少なく,上顎劣成長のまま経過していた.以上より,鼻呼吸障害の除去は,鼻呼吸機能の回復とともに,鼻上顎複合体の成長変化を促進する可能性が推測された.
- 2007-06-25