明代の麗江ナシ族・木氏土司 : 「忠臣」と「自主」の間
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概要
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明代の麗江ナシ族・木氏土司は隣接のチベット人居住地域や永寧府を侵奪していたにもかかわらず,明朝から忠臣と記録され,従来の研究もそういった記録を根拠に,明朝と木氏土司の関係を支配・被支配の関係と規定している。しかし,明朝はチベットとの争いが絶えず,そこから木氏土司と明朝はチベット勢力征討という点で利害の一致を見ていた。さらに,木氏土司による朝貢や占領したチベットからの税の納入,資金供与は単なる土司の義務としては過剰な行為であり,永寧府の侵奪を含む自己の勢力拡張を明朝から黙認させる自主の動きであったと捉えるべきである。そして,両者は時代が進むにつれて,相互依存の関係が成立していったといえる。
- 社団法人中国研究所の論文
- 2007-10-25