茨城県における診療所間の空間的競争(<特集2>空間統計)
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概要
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本稿では,茨城県の医師会名簿から得られた既存診療所および新規参入診療所の位置データを用いて,診療所が新規参入するときの立地場所の決定要因,および既存診療所の空間的均衡の決定要因を明らかにした.診療所が直面している市場における潜在的需要が大きいか,近くに大病院が存在すると,新規参入の場合であっても既存診療所の場合であっても,その市場内の競争相手の数が多くなることが示された.さらに,医師が開業前に働いていた病院の近くに診療所を開設する場合には,たとえ競争相手が多い市場でも新規立地することが示された.これらの事実は,病院と診療所間の相互紹介によりお互いに需要が確保でき,また大病院は診療所の診療リスクを軽減するという点で,大病院と診療所は補完的な関係にあることから説明できる.その結果,大病院が立地する一部地域に診療所が集中して立地する傾向にあることが示された.
著者
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