宇宙は有限か?(観測的宇宙論における諸問題,研究会報告)
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概要
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体積が曲率半径の三乗の高々数倍程度の「小さい」閉双曲型多様体を空間成分にもつ閉双曲モデルにおける宇宙背景輻射の揺らぎを解析した。これらの低密度モデルでは大角度の揺らぎの大部分は最終散乱以降に生成されるため(積分Sachs-Wolfe効果)固有モードのカットオフによる大角度パワースペクトルの減少が緩和され、COBE-DMRデータによるトポロジーに対する制限は緩いものになることが示された。ある密度パラメータの領域に対しては「開いた」FRWモデルよりも、COBE-DMRデータとのより良い一致が得られた。我々の住む宇宙の空間成分がこのような「小さい」多重連結空間として記述されるならば、将来の人工衛星による宇宙背景輻射の揺らぎの精密な観測により、「宇宙の有限性」を発見できる可能性がある。
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
- 2000-09-20