Type0超弦理論について
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概要
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これまで超弦理論の研究は、時空に超対称性を持つ理論を中心に行なわれてきた。この理由の一つに、超対称性を持つ理論には、BPS状態と呼ばれる代数的に決定された安定な状態が存在し、それに注目することで、弦の結合定数によらない議論が可能になる点が挙げられる。このような議論によって、時空に超対称性を持つ5つの超弦理論の間にdualityと呼ばれる関係があることが明らかになった。このことは、M理論と呼ばれる超弦理論をある極限として持つような統一理論の存在を示唆している。このM理論を構成することが、現在の超弦理論の研究の一つの大きな流れになっている。一方、超対称性が無いような理論にはBPS状態が存在しないために、非摂動的な振舞いを調べることが非常に困難である。ところが最近、超対称性を持たない理論であるType0理論と超対称性を持つ理論であるTypeII理論の間にT-dualityと呼ばれる関係があることが明らかになり、またType0理論とM理論の間に関係があることが指摘された。この成果を受けて、Type0理論をはじめとする、時空に超対称性を持たない超弦理論が注目されている。これらの関係を利用して結合定数が大きな領域におけるType0理論の性質が明らかになれば、M理論についてより詳しい情報が得られる可能性があるからである。本論文では、Type0理論の摂動論的な定式化とそこから得られる性質について報告すると共に、最近指摘されたM理論とType0理論の間の関係を元にして、Type0理論が非摂動的に持つ性質についても報告する。また、ゲージ理論の強結合領域の振る舞いを古典重力理論を用いて解析する方法がAdS/CFT対応として知られているが、この手法をType0理論に応用して、超対称性を持たないようなゲージ理論の性質についても言及する。
- 素粒子論グループ 素粒子研究編集部の論文
- 2000-07-20
著者
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