表面とバルクの間としての原子マイクロクラスターのダイナミクス
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概要
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ナノサイズ程度のクラスターは、そこに含まれる約半数の原子が表面にあり、内部に残りの半数の原子があるという点に注目すれば、表面とバルクが混在した系であるといえる。ここでは、保田-森(YM)らによって発見された2元合金系マイクロクラスターの自発的合金化現象に対するシミュレーションを通じて、表面-バルク混在系としてのクラスター系における原子拡散機構について議論する。バルク内での原子の拡散機構は欠陥を介する拡散メカニズム、格子間拡散メカニズムなどのいくつかの基本メカニズムに分類されることが知られている。一方、バルク表面では、固体中の拡散よりも速い拡散が、欠陥の集積物としての表面の存在によって誘起されることが知られている。表面とバルク双方が共存する結果として、ナノサイズ程度のクラスター系において、急速な原子拡散が、融点よりも十分低い温度領域でも起こることを示す。表面融解に駆動された拡散メカニズムを提案し、これがYMらによって発見されたナノサイズ2元合金クラスターでの自発的合金化(溶質原子の急速拡散)の解釈になりうるかという点についても検証する。
- 物性研究刊行会の論文
- 2001-10-20
著者
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