核分裂の遷移時間効果とトンネル効果における摩擦(有限温度原子核の動力学,研究会報告)
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概要
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有限温度原子核の蒸発過程と核分裂過程のダイナミクスを議論する.温度が上がると,崩壊過程は量子ゆらぎによるものから熱ゆらぎによるものに移行するが,その際に重要なエネルギースケールは,温度T,遷移温度T_0=hω_B/2π(ω_Bは崩壊ポテンシャルの障壁曲率),内部運動の励起エネルギーΔεの3つである.原子核の低励起振動運動との相互作用によって,崩壊粒子のクーロン障壁が動的にゆらぐと,崩壊粒子の低エネルギー成分は増え,高エネルギー成分は減る.また,熱効果と量子効果が共存する領域では,熱的にゆらいでいる崩壊障壁を蒸発粒子が量子的に透過して崩壊が起こる.核分裂過程では,核内核子のフェルミ運動との一体相互作用があると,断熱効果として分裂障壁が温度変化し,非断熱効果として摩擦の影響を受ける.最後に核分裂の拡散模型との比較を行う.
- 1993-06-20
著者
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