オーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)のリン酸栄養診断
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概要
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草地に対する合理的な施肥管理法を確立するために,主要イネ科牧草の一つであるオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)を対象として,リン酸の栄養診断手法の開発とその診断基準値の策定を試みた。1976年に造成したオーチャードグラス単播草地を用い,1979年以降リン酸施肥量を10アール当たり0〜36kg P_2O_5の間に8段階設け,過石を用い毎年早春に追肥し,1982年から1986年まで番草別の乾物収量及び番草別,部位別の牧草体のリン含有率を調べ,それらのリン含有率と乾物収量との関係を検討した。その結果,オーチャードグラスのリン酸栄養診断を行う場合には,従来の収穫期における牧草体地上部全体のP含有率から判断するよりも1番草刈取時(出穂揃期頃)の無出穂分げつ部のP含有率から判断する方が高い精度の診断値が得られることを見いだした。すなわち,1番草時の無出穂分げつ部の全リン(T-P)含有率(X)と最高収量を100としたときの1番草乾物収量指数(Y)の間には,Y=a+blogXの関係が得られた。また,この推定曲線図から診断基準値を求める方法が,リン酸の栄養状態を示す指標と収量との関係の再現性の面からみて,他の方法より明らかに優ることを見いだした。この方法で,オーチャードグラスのリン酸栄養診断基準値を検討した結果,1番草時の無出穂分げつ部のT-P含有率がPとして0.25%(P_2O_5 0.57%)以下ではオーチャードグラスはリン欠乏域に,0.30%(P_2O_5 0.69%)以上ではリン充足域にあると判断された。
- 1989-03-31
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