西日本の半自然草地群落におけるC_3,C_4植物の分布
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概要
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温帯多雨林の半自然草地群落においてC_4植物がC_3植物と比較して,どの様に適応し分布しているかという点を明らかにする目的で西日本の草地群落でC_3,C_4植物の分布調査を行った。調査は都井岬,阿蘇山,久住山,吾妻山の短茎草本群落内に定点観察地点を設置し,それぞれの地点で1983年の5月,7月,10月にコードラート内に出現したC_3,C_4グラミノイド植物(イネ科,カヤツリグサ科)の種数,相対優占度(SDR_3)の記録を行った。(1)種数,及びSDR_3の合計の季節的変化を分析をした結果,C_3植物は春に,C_4植物は初夏から秋にかけて種数及び優占度が高くなることがわかった。このことは,一般的にC_3植物が冷温帯性,C_4植物が暖温帯性植物として類型化されることをよく表している。(2)また地域的にみても暖温帯性にある都井岬で,C_4植物の種数,優占度が最も高く,次いで久住山,阿蘇山,吾妻山の順に低くなる傾向を示した。さらに,この調査地点の順番にC_3植物からC_4植物の優占状態の季節的な交代時期も早くなることがわかった。これらの傾向は,温度要因(年平均気温,暖かさの指数,寒さの指数)の変化に対応したが,月別及び年平均降水量とは対応関係を示さなかった。(3)以上のことから,非常に湿潤な気候条件下においては,C_4植物の分布は湿度条件よりも温度条件の変化の影響を強く受けていることが考えられた。
- 日本草地学会の論文
- 1987-07-31
著者
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