在宅で暮らす女性高齢者の居住様式の実態と体力特性
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概要
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石川県内市町における介護予防事業の一環として実施された転倒予防教室や介護予防事業研修会などに参加した女性264人に対して、日常生活活動(睡眠、くつろぎ、食事、排泄)での居住様式(和式・洋式)の質問紙法調査および体力測定(握力、下肢関節可動域、開眼片足起立時間、10m歩行時間)を行った。そのうちの女性高齢者の居住様式の実態と体力特性を成年女性と比較検討した。(1)居住様式は、「睡眠」と「くつろぎ」では洋式に比べて和式が有意に多く、その比率が成年者群より高齢者群で有意に高かった。「食事」と「排泄」では成年者群および高齢者群いずれも和式に比べて洋式が有意に多かった。(2)体力は、20歳代から80歳代までの加齢に伴う変化がみられ、握力・10m歩行時間・下肢関節可動域では70歳以降で、開眼片足起立時間では60歳以降でいずれも有意に低下した。(3)居住様式と体力との関連は、年齢要因では体力との間で有意の関連性が認められた。居住様式と体力との間では、「睡眠」・「くつろぎ」・「食事」と体力との間に有意の関運性が認められたが、「排泄」との間には関連性がみられなかった。以上の結果から、在宅で暮らす女性高齢者の居住様式はベッドや椅子・テーブル、腰掛便器などを用いた洋式生活が安全性や快適性からみて妥当であると考えられる。しかし、「睡眠」や「くつろぎ」の生活場面では、ベッドや椅子・テーブルでの生活よりもむしろ畳の上に蒲団を敷いたり、炬燵や座卓を用いたりする生活の方が好まれている実態が明らかとなった。畳の上に蒲団を敷いたり、炬燵や座卓を用いたりする生活は座り込んだり、立ち上がったりする諸動作の繰り返しが多い生活活動であり、それらが加齢に伴う体力低下の防止に有意義な居住様式となる可能性があると推論された。
- 2007-04-20
著者
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