遠藤周作の預言的ヴィジョン : 神学の一形態としての文学とその可能性
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概要
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遠藤周作は創作において今日の具体的な状況を設けてイエスの似姿を描くことを通して、二〇〇〇年前のパレスチナにおけるイエスの物語を、私たちの物語につくりかえている。これは遠藤が現代において試みている聖書の再解釈であり、そこに自ずと遠藤の神学が浮き彫りにされる。伝統的な知識と論理に頼った従来の神学形態をとっていないものの、遠藤は自らの作品を通して社会と教会との双方を問い直すことで、神学的な営みを果たしている。そのヴィジョンは、一方で預言的批判を含み、他方で救いの希望の印を残している。遠藤は日本文化のなかからキリスト教を見直すという試みを通して、文脈化神学、地域神学、インカルチユレーション、キリスト教の土着化と脱西洋化という神学上の課題を射程におきながら、その先駆けとして将来の神学形態の多様化とその可能性という課題に具体的なヒントを与えている。
- 2006-12-20
著者
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