C・S・ルイスの読者論から人間学へ
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概要
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ルイスのナルニア物語を注釈し紹介を試みた。いくら勧めても、説明しても、読まない、読めない学生がいる。本を読ませること、本を読むことに対して反省することになった。教育者であったルイスは読書をどのように考えていたのか。彼の書いた「批評における実験」という文芸評論についての論文をもとに、人間にとって本を読むこととは何かを考えた。ルイスによれば、読者は大きく分けて非文学的な多数者と文学的な少数者に分けられる。これは真理を求めて授業を聞く学生と、ただ、就職のための単位が欲しいだけで、授業の内容自体には全く関心を持っていない学生との関係に似ている。彼はよい本を読むのがよき読者であると言う通説を逆転させ、読者にしかるべきよい読み方をさせる本が良い本であることを論証したが、同じようによき授業もまた、学生のよき受講態度から評価されなければならないが、そこでは、実用を超えた価値への探究へと共に歩むように多数の学生を啓蒙する指導がなされなければならないのである。
- 上智大学の論文
- 2006-12-20