医学研究と患者の「人格権」 : 人体実験におけるインフォームド・コンセントが意味するもの(<特集>法の変革-希望としての法原理を求めて)
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概要
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大学医学部の附属病院は, 患者の治療に当たる病院であると同時に, 患者の身体を素材にして最先端の医療技術の研究や, 医師の養成を行なう教育機関でもある.日本には, この三つの異なる目的を相互調整して, 被験者としての患者の権利を守るための法体系はない.そのため実験的治療と標準的治療の境界線が曖昧な臨床研究の領域では, 「臨床研究の実施についてのIC」なしに, 患者に無断での臨床試験が行われがちである.本論文では, 金沢大学附属病院や福岡大学附属病院で起こった「臨床研究」をめぐる裁判例を主要な参照項にしながら, 大学病院の「医局」を中心に形成されている複合的な権力・利害関係が, 「外部」から見えないところで患者の権利を侵害し, 自己決定の機会を奪っている可能性があることを明らかにする.そのうえで, 臨床研究を透明化するための具体的方策を示し, 病院化された社会で我々の生を統制している生権力を抑制する方途を探っていく.
- 2007-02-20
著者
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