「アジア」を語るということ : 1980年代以降の竹内好論(<特集>1990年代日本の思想変容)
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概要
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本論文は, 1980年から現在に到るまで日本国内で発表された竹内好論を概観し, そこに見られる議論から同時代日本の問題意識を探ろうとするものである.戦後, 「アジア」「日本」「民族」などを積極的に論じた竹内好は, その死後も多くの論者によって取り上げられ続けてきた.本論では, これらの竹内論を年代順に取り上げて分析し, その論調がどのように変遷してきたかを明らかにする.具体的には, 戦中・戦後日本が主要な問題関心にあった80年代から, ナショナリズム論と中国の変容に直面する90年代, そして世代交代の中で新たに政治性が発見・喪失される2000年以降の竹内論を比較しながら, 戦後日本において「アジア」という問題がいかに語られるか, それと関連して「日本」「ヨーロッパ」がどのように位置づけられるか, その中で「政治」や「個人」がどのようにあるべきかといった問題がいかに論じられたかを明らかにする.
- 東京大学の論文
- 2006-09-30