早期二者関係の発達的展開をめぐる心理力動的考察
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概要
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本稿では、Mahlerの分離・個体化理論を中心に、早期二者関係の発達的展開について考察を試みた。それは、「個」の実現へ向けて決して平坦ではなく、苦闘を伴う挑戦的な営みとして再吟味された。人が「関係性」を築くことを根本的な課題とし、密着・融合した一体的「関係性」から、自律的な対人世界へと内発的に移行する発達的展開がとらえ直された。その「関係性」を基盤とした「個」の心理的誕生は、逆に養育的な「関係性」の質の変化を生み、母子間に新しい「関係性」調節の課題を生み出させていく。「関係性」と「個」の循環関係は、以後の発達的展開にとって促進的にも阻害的にも作用していくのを検討した。そして、「関係性」の実現と「個」として自立的な機能の実現の両立し難さ、両方の間のジレンマに苦闘する子どもの心的世界に今回は注意を向けている。「関係性」と自律的な「個」との間の本格的な相互連関へと歩みを進展させ、「関係性」を内在化して、「個」の発達的形成につなげる歩みについて全体的に考察した。
- 2007-03-31