大学における課外クラブ活動中の事故と安全配慮義務 : 合気道部練習中死亡事件(松山地方裁判所平成8年8月28日判決)の検討を中心として
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概要
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大学生が合気道部の練習中に傷害を負って死亡した事故に関する,松山地方裁判所平成8年8月28日判決を中心に,課外クラブ活動に対する大学側の安全配慮義務について考察をした。その結果,次のようなことが明らかになった。(1)課外クラブの主将は,対外的にはクラブの代表者であるが,対内的にはクラブのまとめ役にすぎないから,原則として,個々の練習などの具体的なクラブ活動に対する事故防止の安全配慮義務までは負わない。(2)課外クラブの顧問の地位・役割は,「名目的象徴的なもの」「精神的協力者」「大学とクラブとの連絡調整役」にすぎないから,原則として,個々の具体的なクラブ活動に対する指導・監督義務ないし事故防止の安全配慮義務を負うものではない。(3)大学の安全配慮義務は,一般論として課外クラブ活動にも及ぶ。しかし,大学の課外クラブ活動においては高度の自主性が求められること,これに参加する学生は自主的判断能力・自立的行動能力が備わっていることから,個々の具体的なクラブ活動については,原則として学生が自らの判断で対処し,自分自身で責任を負うべきであり,大学は事故防止の直接的,具体的な安全配慮義務を負うものではない。こうした判例の考え方は,大学の課外クラブ活動の実態を考慮するならば,おおむね妥当なものと評価できる。
- 2007-03-31
著者
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