気管支喘息と好中球 : IL-8,ENA-78,IL-18遺伝子プロモーター多型と気管支喘息との関連
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概要
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気管支喘息は,その発症に複数の遺伝要因と環境要因とが関わっている多因子疾患と考えられている.気管支喘息の基本病態は,好酸球を中心とした炎症細胞浸潤による慢性気道炎症と気道過敏性亢進であるが,最近,好中球による慢性気道炎症と気道過敏性亢進の機序が注目されている.著者は好中球の気道局所への浸潤を引き起こすCXCケモカインであるIL-8とENA-78,さらに好中球主体の気道過敏性亢進に関与するIL-18のプロモーター領域遺伝子多型と喘息との関連性に注目し,一塩基多型から見た喘息と好中球との関連性を明らかにする目的で研究を行った.本研究では,当院外来通院中の気管支喘息患者139例,健常者132例を対象とした.IL-8(-251A/T)において,アトピー型喘息と非アトピー型喘息との間に,genotype(dominant model)の有意な頻度差が認められた(padjusted=0.00255×8=0.0204).ENA-78(-156G/C)では,血済総IgE値の検討で,Callele群のほうがGallele群より有意に高値であった(C allele : 1899kU/L, G allele : 535kU/L, p=0.039).IL-18(-607C/A, -656G/T)の両者においては,アトピー型喘息と非アトピー型喘息でそれらの頻度に有意な差は認められなかった.これらの結果より,IL-8, ENA-78の遺伝子プロモーター領域多型は,喘息そのものの発症には関運しないが,IgEの産生調節やアトピー体質の獲得に関連していることが示された.これらの結果が,今後好中球が大きな役割を果たす場合の喘息発症メカニズム解明の糸口になることが期待される.
- 2006-12-25
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