神経膠芽腫におけるミクログリアとインターフェロンによる誘導型一酸化窒素合成酵素発現に関する研究
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概要
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神経膠芽腫に対するインターフェロン(IFN)療法は既に有効性の認められた治療であるが,その効果のメカニズムは明らかではない.このIFN効果の一つを活性化ミクログリアによる誘導型一酸化窒素合成酵素(iNos)の発現,高濃度の一酸化窒素(NO)誘導によるものと推測した.神経膠芽腫20例の摘出標本を用いて,活性化ミクログリア,iNOSの免疫組織化学染色を行った.IFNβ300万単位を5例に静脈内投与,2例に腫瘍内投与した.20例中17例に活性化ミクログリアの出現を認め,腫瘍内投与2例のみにiNOS発現を示す活性化ミクログリアを認めた.また培養神経膠腫細胞を用いて高濃度,低濃度NO刺激下における腫瘍細胞の遺伝子発現変化をDNAマイクロアレイで解析した.高濃度例ではコントロールと比較して抗腫瘍効果をもつ複数の遺伝子が高発現し,細胞増殖機能をもつ複数の遺伝子発現が低下していた.低濃度例では有意な遺伝子発現変化は認めなかった.本研究より,IFNによるミクログリア刺激によってiNOSが高度発現した結果,高濃度のNOが誘導され,この高濃度NOが神経膠腫細胞に対して,腫瘍増殖抑制方向に働く可能性が示唆された.
- 近畿大学の論文
- 2006-12-25
著者
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