低酸素性肺血管収縮反応の機序解明 : 家兎定流量肺灌流標本における筋小胞体とカルシウムチャネルの関与についての研究
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概要
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低酸素性肺血管収縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction: 以下HPV)反応は,換気血流比を適正に保つ能動的肺循環調節機構で,その反応が発現するためには,肺血管平滑筋細胞内のカルシウムイオンの増加が不可欠な因子である.HPV反応における細胞内カルシウムイオンの増加機序解明のため,筋小胞体からのCa^<2+>放出とカルシウムチャネルからのCa^<2+>流入の関与を定流量再灌流方式の家兎in situモデルを用いて,観察,検討した.吸入酸素濃度を21%から3%に切り替えることによってHPV反応を誘発し,平均肺動脈灌流圧の上昇値をHPV反応の強さの指標とした.procaineは,用量依存性にHPV反応を抑制し,特に高濃度のprocaineは,HPV反応を完全に抑制した.ryanodine+caffeineも,HPV反応を完全に抑制した,しかしnifedipineは,有意にHPV反応を抑制したが,高濃度を投与してもHPV反応は完全に抑制されなかった.またprocaineとnifedipineの併用投与により,HPV反応は相乗または相加的に抑制され,かつHPV反応の強さは,筋小胞体からのCa^<2+>放出によって制御されることが示唆された.これらの結果よりHPV反応は,筋小胞体からのCa^<2+>放出が,HPV反応発生機序の重要な役割を果たしていることが判明した.
- 2006-12-25
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