文化政策による地域の人的資源の形成の過程 : 新潟県十日町地域「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」を事例に考察する
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概要
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本稿は、新潟県十日町地域で実施された、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ(以下大地の芸術祭と略称)」についての研究ノートである。「大地の芸術祭」は、2つの政策を背景に持つ。一つは、新潟県の策定した地域活性化政策である「里創プラン」であり、もうひとつは、「里創プラン」をもとに策定された十日町地域の施策、「アートネックレス構想」である。本稿では、それら2つの政策の理念や構造を分析した後、第2回と第3回に参加した筆者の体験から「大地の芸術祭」の具体的な事業内容を明らかにした。本稿では過疎・高齢化や、地域産業の衰退といった、中山間地域の持つ課題に対し、「大地の芸術祭」が果たした役割とはなんだったのか、従来のハード型公共事業からの脱却策として取り組まれた、ソフト重視型公共事業とは何なのかという点について、2つの政策を追うことで明らかにしている。また、2回のフィールドワークから、地域の人々が変化する様を追い、「大地の芸術祭」を、人的資源の形成という視点からひも解いている。第1回から第3回までの芸術祭を、回ごとに記述し、住民の態度及び、企画の内容から、その変化を明らかにしている。