ミナミコメツキガニの摂餌孔による底質耕耘がマングローブ林の堆積物環境に及ぼす影響
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概要
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沖縄県西表島ナダラ川河口に発達するヤエヤマヒルギ林の前面の砂質干潟では,スナガニ科のミナミコメッキガ二が干潟の干出した後, トンネル型採餌行動が通年観察された.すなわち,干潮時の干出した干潟では,地下に避難していたミナミコメッキガ二が土壌表面近くの表層土中にトンネルを作りながら摂餌を行い,その行動によって表層土が約1cm厚さに盛り上げられる.盛り上げられた土壌量から,底質の耕転量は,一回の干出でha当たり56トン乾燥底質であり,1年間ha当たり1909トン乾燥底質と算定された.干出時にミナミコメッキガニにより盛り上げた堆積物は,潮汐作用と波により泡を生じながら崩壊し,微粒子を多く含む懸濁水となり,内陸側に位置するマングローブ支柱根の近傍に沈積して,泥質に富む堆積物を生じていた.その泥質懸濁物は豊富な栄養分を含み,マングローブ生態系内での養分供給と堆積物の理化学的性質の変化に著しく影響を及ぼしていた.Bioturbation of soldier crab, Mictyris longicarpus var. breuidactylus was studied. Its burrows have been observed all the year around with average of 8 individuals/25cm×25cm sandy tidal flat in front of Rhizophora stylosa community at the estuary of Nadara river, Iriomote Isl., Okinawa, Japan. Bioturbation by soldier crabs was estimated to be approximately 56ton dry sediment/ha/tide, affecting significantly the sediment dynamics of mangrove ecosystems.
- 九州大学の論文
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