高齢者の在宅ターミナルケアと訪問看護サービスの現状 : 福井県の訪問看護事業所調査から
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概要
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高齢者の在宅ターミナルケアは、高齢者がその人らしい主体的な、終末期を迎える為に重要であるが、現状は高齢者がそれを望んだ場合、自由に選択できる状況ではない。一般的に高齢者のターミナルは、経過が長期化しやすいなどの特色があり、介護などさまざまな問題を抱えている。その為、介護保険サービスやケアマネジメントの活用が必要になっている。今回、福井県の訪問看護サービスにおける在宅ターミナルケアへの取り組みを調査し、その推進を妨げている要因と訪問看護サービス体制の分析を行った。その結果、在宅ターミナルケアについて、次の4つのことが明らかになった。1.現在実施している事業所は、30%に過ぎず進展していないが、病院等と訪問看護ステーションに事業所を分類した場合は、その86%を訪問看護ステーションが実施していた。2.訪問看護の管理者は、医師の場合より看護職の場合の方が積極的に取り組んでいる。3,訪問看護の規模が小さい(従事者3人未満)場合は、積極的に実施することが難しい。4.訪問看護は、実施上の困難として(1)意思決定困難な高齢者の増加とその自己決定の支援、(2)ケアの報酬の問題、(3)家族の介護力不足、ホスピスなど社会的支援体制の不足、(4)移動など物理的な問題を抱えている。さらに、訪問看護ステーションでは、(5)福祉関係者の技術不足、(6)往診する医師の不足という問題が加わり、在宅ターミナルケアの実施が困難になっている。つまり、訪問看護サービスは事業所の体制改善に加えて、訪問看護と共に高齢者や家族を支援する社会サービスが、整備されなければその機能を発揮できない。
- 2006-02-27