カートゥーンの可能性
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概要
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「画面中央に真っ暗な列車のトンネル。脚立を肩にした男が青赤黄の絵の具の缶と数本の刷毛を手にトンネルに入っ行く。」男はトンネル(未来)の壁に極彩色の壁画(夢・希望・自由)を描きに行くのです。たぶん暗くても誰も壁画を見ることはできない…。これは1987年、第六回読売国際漫画大賞一位のドーシャン・ペトロービッチ氏(ユーゴスラビア)の作品です。ゴルバチョフ率いるソ連が崩壊したのは数年後の1991年。東欧の人々の自由な社会への思いは強烈に伝わってくる作品といえるでしょう。短編小説一冊分に匹敵するメッセージを読み取れるカートゥーンがあります。マンガ文化全盛の日本ですが、その大部分はコミックスに対するものでありカートゥーンは忘れられています。しかしコミックスも一時の勢いを失いつつあると言われており、ならば今一度カートゥーンの可能性について考えるのも無駄ではないでしょう。
- 2007-03-31