降水パターンが硝酸態窒素の溶脱におよぼす影響

概要

論文の詳細を見る
近い将来,地球温暖化による気候変動により降水量の時空間分布が大きく偏ることが予測されている。偏った降水分布は,浸透する降水とともに地表面から地下水面へ移動する物質移動にも影響を与えると推測される。我が国で最も多く検出される地下水汚染物質である硝酸態窒素の地中での動きに降水パターンが与える影響を明らかにすることを目的として,大型計量ライシメータを用いた室内実験をおこなった。細砂を充填した均質媒体,実際の野外条件に近い土壌層を細砂の上に有する2層構造,および細砂中にマクロボアを有する不均質媒体に4mm,6.8mm,13.6mm,26mmの降水をそれぞれ24時間間隔でくり返し与え,地中における水およびトレーサとして地表面から与えた硝酸態窒素の動きを観測した。硝酸態窒素は豪雨に相当する26mm降水をくり返し与えたときのみに均質・不均質媒体中でともに地下水面へ大量に溶脱した。その他の降水時には均質媒体内では水と硝酸態窒素は同じ動きを呈したが,2層構造をもつ不均質媒体では4mm降水条件下のみに表層土壌内における硝酸態窒素の分解による濃度低下が観測された。一方,マクロボアを有する媒体内では6.8mmと13mmの中程度の降水条件下で一部の硝酸態窒素が表層に残存する一方マクロボア流による早い浸透が生じ,地中における硝酸態窒素の非常に大きな広がりが認められた。これらにより将来,気候変動により豪雨頻度が増加するとより多くの硝酸態窒素の溶脱および大きな分散が生じることが示唆された。
千葉商科大学の論文
2006-12-31

降水パターンが硝酸態窒素の溶脱におよぼす影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク