清末の「種族」論とナショナル・アイデンティティ
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概要
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小論はナショナル・アイデンティティの視点から、清末期の国民国家形成の模索に現れた「種族」論を考察する。「種族」論が発生した当時の歴史的背景として、西洋の侵略と人種差別論を指摘し、またその文化的背景として、中国伝統の流れの一つである「華夷の弁」の観念を語った。諸民族が緩やかな関係で共存した伝統的な天下社会のあり方を変えて、一つの統合した国家を形成するのは、当時の緊迫課題であった。統合国家としてのナショナル・アイデンティティをどこに求めれば、中国の人々が凝集するのか。その拠り所について、国民、「種族」、文化など多岐に分かれて模索された。その中で、「種族」論が辛亥革命の動きを主導したため、本研究は「種族」論に焦点をあて、他の考え方とも関連しながら、その様相、特徴、変化を解明する。
- 新潟国際情報大学の論文
- 2007-05-30
著者
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