「自分でつかむ」という学習姿勢をはぐくむ講義展開 : 分娩における援助技術獲得の過程における試み(第1報)
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概要
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援助技術とは,ただ手順の総合体ではなく,対象への理解に基づいた働きかけでなければならない。また,技術とは実施者の成長に応じて熟達,変化しなければ技術とは言えないという側面を持っている。しかし,近年若者の学習や自己の役割の自覚に関する変化の中で,学生の主体性や積極性の不足が問題とされる事が多い。本学において助産学を受講する学生の姿勢にも,同様の問題を感じ,学習効果を得るだけでなく,援助者としての成長を促すきっかけとなることを期待して,「助産技術学I」において平成16年度より新たな講義展開を試みた。「助産技術学I」は分娩における援助技術を学習する科目であり,これまで教員の講義・演習を中心とした科目であったが,新たな講義計画では,ビデオや資料を手がかりに,グループによる自己学習を中心に,教員はその理解の確認と修正を行ないながら,学生の気づきを促し,学生各々の変化やグループの形成過程を見守る方法をとった。結果として,誤った理解や学習不足の学生は見られず,技術修得の状況も良好であった。また,何よりも大きな変化は,学生の学習姿勢に積極性が見られるようになった点であった。その変化が,我々が意図した人間的な成長に繋がるのかは,まだ評価の段階では無いと思うが,学生は「自分でつかむ」という姿勢の一端は体験できたように思う。ここに,新たな講義展開の状況と,学生の変化を報告し,今後の課題を明らかにしたい。