クナイプ療法の成立と社会的意味 : ドイツにおける自然療法の発展を見る
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概要
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地球環境問題解決の根底には、人間と自然の関係をどのようにとらえるのかという問題が存在する。すなわち「自然観」に対する問いかけが必要なのであるが、その手がかりの一つとして「自然療法」が考えられる。そこで本稿では、環境先進国ドイツにおいて広く普及している「クナイプ療法」を取り上げ、考察を行った。クナイプ療法は、カトリック司祭セバスチャン・クナイプが100年以上前に提唱した自然療法で、現代に至るまで継承されている。本稿では、クナイプ療法の成立と発展過程をたどり、この療法が今日まで発展を遂げた要因について検討をくわえた。その結果、三つの発展要因として、社会的風潮、現代的要素とともにこの療法のもつ「自然観」があげられた。このことから、クナイプ療法に見られる「自然観」が人間と自然の関係のあり方について現代社会に示唆することを述べ、その社会的意味について考察を試みた。