コミュニティソーシャルワークの視点から「障害者家族」を捉える : 障害者家族特性に配慮した支援にむけて
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概要
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本稿は、「障害者家族」支援とコミュニティソーシャルワークのモデルとの包摂を目的とする。援用するソーシャルワークのモデルは、「エコロジカルソーシャルワーク」「ポリティカルエンパワメント」「プランニング」である。エコロジカルソーシャルワークのモデルを用い、障害者家族の親子関係がもつ特性を指摘する。親子の間で行われるケアはお互いの役割やアイデンティティを維持・強化し、子どもの成長や親の老いによっても親子関係を変化しにくくさせる。さらにポリティカルエンパワメントでは、その変化しにくい特性が日本の家族規範では「理想の家族像」として理解されうる危険性を指摘した。障害者家族は現在の日本の家族規範が持っている政治的・制度的な偏りにより「他者への侵入危険性」と「時間の限界性」を抱えさせられている。最後に、どうすれば障害者家族がお互いの成長を喜び、老いを安心して迎えられるかをプランニングの視点から論じた。重要なのは、タスクゴールではなく、障害者家族の親子関係に配慮したプロセスゴールであることを指摘した。
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