ドイツの学校監督と学校の自律性 : 学校経営体制の史的変遷
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概要
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ドイツでは、国家の「学校監督」という概念の下で、学校が伝統的に国家の「権利能力なき営造物」とされてきた。しかし他方で、学校の自律性の強化をめぐる動きが歴史的な過程において展開されてきた。この学校の自律性というものは、学校経営体制の民主化と関連しながら展開されてきた。より具体的には、「教師の教育上の自由」という概念と結びついて、戦後70年代以降に強化されてきたものである。近年ドイツにおいては、学校の自律性が従来以上に強化される傾向にある。しかし、それは新自由主義の影響を受けた新たな展開と見られ、学校の自律性というものが必ずしも教育上の自由と連動してはいない。本稿は、この学校の自律性をめぐる一連の問題について、ドイツにおける学校監督という伝統と関連づけながら、歴史的に検討を行ったものである。その際、主としてネバーマンの学校経営理論に拠りながら、これに現代の動向を加えて論じた。