ファッション化する子供用品 : 近代初期の消費イベントとしての七五三の事例を中心に
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概要
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本論では、日本の初期消費社会のデザインの生成過程を、子供用品市場の出現とそれに伴いデザインされた商品群の事例によって検証した。明治末期、日本で子供用品市場が形成される際、大人と同様に流行を意図的に創り出し、人々に消費の欲求を喚起させるという手法がとられた。その契機となったのは、日本古来の子供のための行事である七五三であった。子供の成長を祝う風習を近代的な消費イベントに利用することで、子供の衣服に流行が存在することを消費者に認識させたのである。店頭やカタログで度々紹介される晴れ着としての子供服は、中流層が子供用品の消費に向かう上で、実際の消費量以上に大きな影響を与えた。衣服で用いられた流行操作の手法は、雛祭りのような同様の伝統的風習にも適用され、さらに新入学、クリスマスといった新しい消費イベントの創出へと発展していった。これらの事実から、非常に早い時期に、多くの消費財がファッションという近代的要素を含んでいたことが明らかになった。
- 2007-05-31
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