産業技術総合研究所の技術的研究支援に関する研究
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究では,産総研の技術的研究支援について分析し,そのあり方を検討する。技術的研究支援に対するニーズは,支援項目について分散化して研究分野による違いが拡大し,支援項目としてはより高度なものの必要性が高まりつつある。支援の調達方法としては,(a)研究ユニット内支援者雇用,(b)アウトソーシング,(c)産総研内支援事業の3つがいずれも重要である。(a)は,研究分野別,研究ユニット形態別に違いがあるものの,全体としてはテクニカルスタッフの大幅な増加などで不足を補ってきており,問題点としては処遇不十分,情報不足が指摘できる。(b)は,直接研究費の増加を背景に増加している可能性があり,少なくとも動物飼育と機械工作が増加していることが分かるとともに,問題点としては情報不足,知的財産保護,メリットとしては専門の知識,技術や経験が豊富なことが指摘できる。(c)は,共通経費負担か研究ユニット負担か,負担に見合うかを見極めつつ実施する必要があり,メリットとしては産総研内にあるので気軽に相談できること,知的財産漏洩の心配がないことが指摘できる。従って,ニーズの変化を踏まえつつ,3つの調達方法をそれぞれのメリットを活かして使い分けること,アウトソーシング先や研究支援者の情報収集提供を中心とした支援全体を把握し推進する機能を設けることが必要である。さらに,研究支援調達ベストミックスと研究支援ハブ機能を中心とした体制整備を提案する。本研究の分析結果や提案は,産総研に限らず,規模が大きく広い研究領域を持つ大学や公的研究機関にも適用できると考える。
- 研究・技術計画学会の論文
- 2007-08-08