日米のヒトゲノム計画に見る日本の科学技術政策決定過程に関する媒介機能とその課題
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概要
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本稿では,生命の設計図を解明する巨大科学プロジェクトであったヒトゲノム計画を日米比較する事により,日本の科学技術政策決定過程を分析する。高度な専門知識を有する科学者が,政治アクターにどの様に関わり,科学技術分野で政策決定が行われているかを,境界組織を含むプリンシパル・エージェントのフレームワークで検証する。具体的には,米国では,科学技術関連省庁内の政策決定に権限を持つ地位に専門知識を有する科学者を配置する制度や,複数の科学評価機関が「統制された科学的市場(Regulated Scientific Market)」をプリンシパルに提供する制度が,政治と科学の媒介機能を生み出している。しかし,こうした機能を持つ制度が日本にはまだ整備されていない事を指摘する。
- 2007-06-29