気管切開をした幼児の保育園入園に関する訴訟とその意義
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概要
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2005年11月2日、気管切開をした女児の保護者は保育園入園を求めて、入園不承諾処分を行った東大和市を相手に処分取り消しと保育園入園承諾の義務付け、および保育園への入園を仮に承諾することを求める仮の義務付け申し立てを東京地方裁判所に行った。この裁判は、「医療的ケア」が必要であることを理由に保育園入園を拒否することが行政として適切な対応なのか、という「医療的ケア」に焦点化された裁判であったと言える。仮の義務付けの判決により、女児は仮の保育園入園が実現した。また、判決では、「医療的ケア」を理由に入園を不承諾した市の対応は裁量権の乱用であるとし、措置にあたっては、個々の子どもの実態をよく検討する必要性が再確認された。 現在、「医療的ケア」を必要とする子どもたちが、地域の小学校・中学校に増えてきている。こうした中、「医療的ケア」の有無を保育や教育行政の処分・措置の条件にするのではなく、保育園や学校において適切な支援が受けられるように、自治体は一層の充実が求められる。