中絶の語りからみた女性の自己変容とケアの可能性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
中絶の経験をもつ女性の語りを分析し,ケアの可能性を検討することが目的である。インタヴューを実施し,女性8名の語りを,気づきと自己変容という概念に着目し質的に分析した。その結果,女性の気づきや自己変容を媒介する重要な他者として,パートナーと中絶した胎児,の2つの主体が浮かびあがってきた。パートナーとの関係性からは,中絶後,さまざまな困難が生じることもあったが,女性たちはパートナーとの関係性を客観的に見つめ直し,困難を人生の糧として乗り越えようとしていることがわかった。次に,胎児との関係性(胎児観)からは,2つの特徴がみられた。1)胎児との親密性(崇りの観念の欠如)と,2)生まれ変わりの観念,である。女性の語りにおいて崇りの観念は皆無であった。胎児は,女性の人生をサポートしたり守護したりする役割を果たし,女性の自己変容を媒介していると考えられた。生まれ変わりの観念は,女性の自責感を和らげてくれるものと考えられた。また,生まれ変わりの観念は,女性の新しい旅立ちと重ねて語られていた。胎児観は,女性が置かれた状況やそのつどの人生の課題に応じてさまざまに変化しうるものであると考えられた。
- 日本母性衛生学会の論文
著者
関連論文
- 女性身体利用の新しい局面--未受精卵のボランティア提供について
- 抗酸化物質(2)ビタミンE
- 中絶を経験した女性のスピリチュアリティ : インターネットの水子供養に参加した女性たちの記述から
- 能登半島地震による妊産婦への健康影響
- LPS投与は、一過性に血漿中S-ニトロソグルタチオン還元酵素(GSNOR)活性を上昇させる
- 簡便な血漿総抗酸化能測定法の開発
- 看護職の地位とセクシュアル・ハラスメント
- 子どもの共感性と三世代交流プログラムによる変化
- 地震災害における思春期女性の心と体の問題
- 思春期におけるトラウマとPTSDに関する疫学
- 女性信徒の組織化--教団における官僚制機構の創出とジェンダー--立正佼成会の事例より
- 自尊感情とリプロダクティブ・ヒストリー
- 卵子提供と女性保護--不妊治療における卵子ドナーの満足度調査(米国)から
- 能登半島地震からみた妊産婦への支援体制
- 抗酸化物質(1)ビタミンC(アルコルビン酸)
- 中絶の語りからみた女性の自己変容とケアの可能性
- P-089 中絶の語りからみた女性の自己変容とケアの可能性(Group45 その他,ポスターセッション)
- 中絶を経験した女性のスピリチュアリティ
- 新宗教における「女性」戦略
- 共依存と女性--立正佼成会の事例から
- インドの商業的代理出産と法規制
- ソーシャル・キャピタルと主観的健康感
- 環境衛生の面より考える思春期のアレルギー
- 宗教のフェミニズム的理解を目指して--世俗フェミニズム・霊性フェミニズムの分断を超えて
- 宗教研究におけるフェミニスト・アプローチの多様性と可能性
- 新宗教と女性--霊友会の教えから
- 霊友会の内紛・分裂事件と女性役割規範
- 霊友会の内紛・分裂事件と女性役割規範をめぐって
- タイの医療(メディカル)ツーリズムと生殖産業
- 卵子提供に対する医師・不妊当事者の意識と実態
- 災害と思春期の健康の問題
- アジアの生殖補助医療
- O1-046 タイの生殖医療と第三者生殖技術の「利用される側」としてのタイ女性の経験(不妊,一般口演)