ジアセチレン基を有する両親媒性ペプチド脂質の自己組織化

概要

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本研究では、L4K8L4ペプチドの末端にジアセチレン基を有する疎水性の長鎖アルキルを導入した新規ペプチド脂質(1)を合成し、水中での自己集合特性について検討した.まず、様々なpHの水中における1の二次構造をCDスペクトルから検討した。その結果ペプチド1は、pH 4以上ではb-シート構造を形成し、低pH領域 (pH < 4)ではランダムコイル構造を形成することがわかった。しかしながら、pH 3.9では興味深いことに、時間経過に伴うランダムコイル構造からb-シート構造への自発的な構造転移が観察された。このような二次構造転移に伴い、ペプチド1は高さ約20 nmのナノファイバー構造に自己組織化した。1 が b-シート構造を形成したときの理論分子長(約8.7 nm)を考慮すると、 1-ナノファイバーはジアセチレン基を含むアルキル鎖をコアに、比較的親水的なペプチドセグメントをシェルとするロッド状のミセルファイバーであると推察される。また,このナノファイバーに光照射を行ったが、ジアセチレン基の重合は進行しなかった。恐らく、トポケミカル重合に適した分子配列ではないのであろう。