幸福な瞬間について(パネルディスカッション : 語ることと聴くこと〜精神療法的対話の妙味,2006年,第47回日本心身医学総会(東京))
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概要
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人間のこころにまつわる臨床にしばしば去来する「幸福な瞬間」について,その臨床的あらわれ,臨床的意義について,2つの臨床素材を提示しながら論じた.筆者は臨床の主な場であるプライベートプラクティスによる精神分析的実践においてその存在に気づいたのだが,より一般的な精神科外来においてもそうした瞬間を見出すことができた.その出現は,(1)その場で治療者がその場の主要か情緒をもちこたえた後に生じる.またそれは,(2)きわめて自生的に出現する.すなわち,治療者が必死で何かを考え出そうとしたり,理論的に推論することからでなく,過程の中で自然に生起する.すなわちこのことは,(3)治療者がある意味で自分を失うことを含んでいる.臨床実践においては,患者の変化を直接に目的にするのではなく,このような瞬間を待つという態度が重要であると考えられた.
- 日本心身医学会の論文
- 2007-07-01
著者
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