国際協力NGOに求められるボランティアファシリテーションとその課題
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概要
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国際協力を主たる事業とする国際協力NGOもまた、ボランティア団体である。組織能力強化、中でも組織運営(経営)能力が問われる現在において、日本の国際協力NGOにとってのボランティアの位置づけを明確にし、今後より多くの多様な市民ボランティアの活動現場を生み出していくために必要となる、ボランティアファシリテーションの課題について明らかにすることが本論説の目的である。そのため、まず日本の国際協力NGOの中のボランティアの存在と役割・意義を明確にし、国際協力NGOのボランティアマネジメントに関する現状と課題を整理する。すなわち、国際協力NGOもボランティア組織であり、そのボランティアの「強み」を生かしたマネジメントが必要であるにも関わらず、ボランティアマネジメントを担当する職員およびポストが不在であることと、近年国際協力のプロ集団としてボランティアの「参加」を重視しない傾向があることを明らかにする。その上で、今後、国際協力NGOが市民社会組織として市民社会の創造を担うためには、事業を効率的に実施するためのマネジメントに留まらず、多様な市民参加を促進し、一人ひとりのボランティアが「参加」し、エンパワメントされる経験をする可能とする「参加型組織マネジメント」が求められること、また、スタッフにファシリテーターとしての役割、特に、高いコミュニケーション能力が求められていることを明らかにする。