生活リスクの変化と生命保険事業の将来
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概要
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家計の経済的リスクの中で死亡の深刻度は相対的に低くなってきている。また,独身者などに見られる,必ずしも経済的リスクに基づかない死亡保障加入実態は,可処分所得の減少によって剥落する可能性が高く,これらが,人口構成の変化などを受けた死亡保障市場の縮小を加速しそうだ。生命保険事業の他の保障分野を見ると,欧米で主力となっている老後に向けての資産形成・運用分野は,長期的には成長株だが,当面は超低金利の継続で苦戦が続く。医療保障分野についても,入院・手術時の定額給付は満杯感が出つつある。フロンティアは,独身者なども含めて経済的打撃が深刻な障害・就業不能時の保障ではなかろうか。この分野は,基礎率が不明確・不安定であること,支払の判断が難しいことなど課題も多いが,消費者の認知度の向上を含めて取り組んでいく必要がある。
- 2005-06-17